6-4-1. WWF BRFの構成
WWW BRFは、世界的な環境保全のイニシアチブであるWWFが2023年に公開したツールで、生物多様性に関連するリスクを企業およびポートフォリオのレベルのスクリーニングや優先順位付けを行えるツールです。2012年に公開された水関連リスクを評価できる Water Risk Filter(WWF WRF)とセットで提供されています。無料で利用できます。
WWW BRFは、Inform、Explore、Access、Actの4つのモジュールで構成されています。ただし、ACTモジュールは開発中です(2026年5月現在)。

Informモジュールでは、25業種について、インパクトと依存のリスクを5段階で表示されます。リスクが高い評価している業種は農業、漁業および紙・林産物の関連業種で、依存では水の利用可能性と極度の暑さのリスクが高く、インパクトでは汚染で高くなっています。印刷産業は含まれていません。

Exploreモジュールでは、物理的リスク(17項目)および規制不備リスク(41項目)が世界地図上に色分けされて表示されます。ただし、表示される58項目のうち33項目は国単位での評価です。また、国ごとに物理的リスク、規制不備リスクおよび評判リスクが表示させることもできます。このデータはダウンロードでき、ダウンロードしたエクセルファイルではExploreモジュールの全評価項目のリスクが示され、国単位のみならずその国の地域、日本国内の場合は県単位でリスクが示されています。

Accessモジュールでは、利用者登録することにより、特定の場所のリスク評価を行うことができます。しかし、「産業分類」はInformモジュールで示されている25業種から選択できるのみで、「印刷産業」はこの中にありませんので評価はできません。
6-4-2.使用者登録して印刷産業を診断した結果
主にオフセット枚葉印刷を行っている印刷工場は「オフィス」に類似した環境負荷を与えると仮定して、「印刷産業」を評価しました。東京都庁の所在地で評価すると、大気の状態、地滑り、疾病、猛暑および熱帯低気圧でリスクが中程度のリスクと評価されます。産業分類を「その他(何も選択しない)」で評価すると、物理的リスクで水質の状態、生態系の状態(劣化)、授粉、地滑り、除草剤耐性、洪水、評判リスクで外来種、汚染、資源の不足などが加わります。この中で、生態系の状態(劣化)、除草剤耐性、熱帯低気圧、汚染は極めて高いと評価されます。これは、農林水産業、鉱業などリスクが高い産業分野を含めた全産業の平均値がリスクとして判定されると考えられるためと考えます。したがって、「印刷産業は」は「オフィス」で評価した結果の方が妥当であると考えます。
