特定物質等の規制によるオゾン層の保護に関する法律
(略称:オゾン層保護法)
この法律は、オゾン層破壊物質及び地球温暖化に深刻な影響をもたらす代替物質の製造・輸入を規制する法律です。これらの物質を製造・輸入しない事業者に対しては、使用する際の排出抑制及び使用の合理化の一般的責務が課せられます。
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
(略称:省エネ法)
この法律は、工場等、輸送、建築物及び機械器具等に対して、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換を促す法律です。印刷産業は「工場等を設置している者」および「荷主」として適用を受けます。法人としてエネルギー使用量が原油換算で年間1,500キロリットル以上となると「特定事業者」として規制対象となり、統括者や管理士・企画員等の選任、中長期計画書・報告書の提出の義務が発生します。一方、年間の輸送量が3,000万トンキロとなると、「特定荷主」として規制対象となります。
エネルギー使用量の報告は、原則としてEEGSを使用することとされています。
EEGS(イーグス):Energy Efficiency and Global Warming Countermeasures online reporting System(省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム)
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律
(略称:建築物省エネ法)
この法律では、印刷産業では、住宅部分を除いて300m2以上の建築物の新築、増築又は改築を行う際に、「建築主」の立場で適用を受け、事前の届出、建築物エネルギー消費性能基準適合義務が課せられます。一方、建築物の所有者は、建築物が建築物エネルギー消費性能基準に適合していれば認定申請することができます。
地球温暖化対策の推進に関する法律
(略称:地球温暖化対策法、温暖化対策推進法、温対法)
この法律は、日本が温暖化対策を推進するために礎となる法律です。印刷産業は、事業者の立場で適用を受け、温室効果ガスの排出量の削減、計画の策定・公表、行政が実施する施策への協力などの一般的責務が課せられています。原油換算エネルギー使用量が1,500キロリットル以上の事業者には、エネルギー起源のCO2排出量の報告を義務付けています(ただし、省エネ法で報告)。さらに、この法律では、従業員21人以上の事業者で、事業場または事業者全体でエネルギー起源のCO2やメタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六ふっ化硫黄、三ふっ化窒素をCO2換算で3,000トン以上排出した場合、報告を義務付けています。
報告は、原則としてEEGSを使用することとされています。
EEGSでは、報告対象か確認することもできます。https://eegs.env.go.jp/eegs-portal/manual#ANC10
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律
(略称:フロン排出抑制法)
印刷業界は、フロン類を使用した機器の製造、フロン類の回収や破壊を行っていません。業務用空調機や冷蔵機器(冷水機等)を設置していれば、第2条第8項に定める「管理者」の立場、および廃棄する際は第41条第1項で定める「第一種特定製品廃棄等実施者」の立場でこの法律の適用を受けます。 管理者は、法第16条第1項に基づき作成される「管理者の判断の基準」を遵守する義務があり、四半期ごとの点検、7.5kW以上の場合は定期点検(1年又は3年ごと)を行わなければなりません。設置してある空調機や冷蔵機器を以下のチェック用エクセルで点検頻度を確認してください。
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
(通称:PRTR法、化管法)
法で「第一種指定化学物質」として定めた物質で年間0.5トンまたは1トン以上取り扱う事業者が「第一種指定化学物質等取扱事業者」として適用され、当該物質の排出・移動量の報告が義務づけられます。ただし、常時使用する従業員の数が20人未満であれば法定事業者に該当しません。印刷関連の対象物質は「印刷産業における環境関連法規集(2022年版)」p135に例示してあります。
この法律では、「第一種指定化学物質」に加え「第二種指定化学物質」(これらを法律では「指定化学物質等」と定義)を取り扱う事業者を「指定化学物質等取扱事業者」と定義して、指定化学物質を他人に提供する際にSDS交付義務を課していますが、印刷産業にはこの業務はないと考えます。