大気汚染防止法
(略称:大防法)
「事業者は」で始まる条項は、4つのみで、一般的責務規定です(第17条の2、第17条の14、第18条の38、第18条の42)。具体的な義務は、法で定められた施設(ばい煙発生施設、揮発性有機化合物排出施設、一般粉じん発生施設、特定粉じん発生施設、水銀排出施設)を設置する者に対して課せられます。すなわち、設置届、変更届、測定、測定記録の保存などの義務が課せられます。表では、設置届の条項のみを引用しています。その他は「印刷産業のための環境関連法規集(2022年版)」を参照してください。印刷産業では、ばい煙発生施設、揮発性有機化合物排出施設および水銀排出施設(廃棄物焼却炉)が関係します。ばい煙発生施設および揮発性有機化合物排出施設には規模要件があり、法定の対象とならない施設があります。届出の必要性は以下のチェック用エクセルで確認してください。基準値超過の場合は、無過失責任が課せられます。また、ばい煙発生施設(ボイラー等)を設置している事業所は、事故を起こした場合第17条に基づき報告がしなければなりません。
この法律ではさらに、建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事を発注者に対して、元請業者が義務として行う石綿調査に協力する責務を課し、石綿が使用されている場合は「建築物等」として工事を行う14日前までに届け出る義務を課しています。
自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法
(略称:自動車NOx・PM法)
印刷産業は、自動車の製造、建築物の新築を行っていないので、自動車を使用する事業者として適用を受けます。ただし、法が適用されるのは法で定められた区域のみで、施行令別表第1で「窒素酸化物対策地域」および「粒子状物質対策地域」で定められた区域です。環境省HPに掲載されています。また、国立環境研究所HPでも確認ができます。それぞれのアドレスは、以下のファイルで確認してください。
これらの区域の周辺区域も法の対象となりますが、自動車の使用台数が30台未満であればこの法律の適用を受けません。
水質汚濁防止法
(略称:水濁法)
この法律は、用語が難解で解釈しにくい法律です。「事業者は」で始まる条項は、2つのみですが、一般的責務規定です。具体的な義務は、法で定められた施設等(特定施設、有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設、指定地域内事業場)を設置する者に対して義務が課せられます。すなわち、設置届、変更届、測定、測定記録の保存などの義務が課せられます。表では、設置届の条項のみを引用しています。その他の条項は「印刷産業のための環境関連法規集(2022年版)」を参照してください。印刷産業では、特定施設、有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設が関係します。届出の必要性は以下のチェック用エクセルで確認してください。
基準値超過の場合は、無過失責任が課せられます。
下水道法
この法律では、いわゆる「事業者」に義務を課す条項はありません。地方公共団体が下水道を設置した場合、建築物や土地所有者に接続を義務づけ、一日最大50m3以上の排水や基準値以上の有害物質を含む水を排水する者に対して「使用開始届」届出を義務づけています。さらに、法で定められた施設等(特定施設)を設置する者に対して義務が課せられます。すなわち、設置届、変更届、測定、測定記録の保存などの義務が課せられます。表では、設置届の条項のみを引用しています。その他の条項は「印刷産業のための環境関連法規集(2022年版)」を参照してください。また、届出の必要性は以下のチェック用エクセルで確認してください。基準値超過の場合は、無過失責任が課せられます。
この法律では、「下水を排除するために設けられる排水管」や「下水を排除して公共下水道を使用しようとする者」のように用語として「排除」が使用されています。「下水」は、汚水(生活若しくは事業に起因し、若しくは付随する廃水)と雨水の総称として定義されています。
浄化槽法
この法律は、し尿を公共用水域等に放流することを禁止し、浄化槽の設置を義務づけた(第3条、第3条の2)法律です。浄化槽を設置する際は届出しなければならず(第5条)、設置後は「浄化槽管理者」として、点検・清掃、水質検査が義務づけられます。ただし、これらは委託することができます。
瀬戸内海環境保全特別措置法
(略称:瀬戸内法)
この法律は、瀬戸内海および瀬戸内海につながる河川に排水する工場・事業場に対して、水質汚濁防止法の特定施設を設置する際、水質汚濁防止法の設置届に変えて、本法に基づいて設置許可を義務付ける法律です。ただし、1日当たりの最大排水量が50m3未満であれば適用を受けません。
湖沼水質保全特別措置法
(略称:湖沼法)
この法律は、指定された地域で水質汚濁防止法の特定施設を設置する者は湖沼特定事業場の設置者として適用されます。印刷産業の場合は、水質汚濁防止法の設置届を提出すればよいだけですが、排水基準が上乗せされます。ただし、処理対象人数201人以上500人以下の浄化槽は「みなし指定地域特定施設」として水質汚濁防止法の基づく設置届が必要です。
騒音規制法
この法律は、町村が指定した地域に法の対象となる施設を設置する場合に適用されます。設置する際は設置届を届けなければならず、届出事項を変更する場合は事前に変更届を届け出なければなりません。ただし、施設の数の変更は、届出台数の2倍までなら不要です。届出の必要性は以下のチェック用エクセルで確認してください。
この法律は、建設工事と自動車の騒音も規制対象としていますが、以下に添付した表では引用していません。
振動規制法
この法律は、町村が指定した地域に法の対象となる施設を設置する場合に適用されます。設置する際は設置届を届けなければならず、届出事項を変更する場合は事前に変更届を届け出なければなりません。ただし、施設の数の変更は、増加する場合に必要になります。届出の必要性は以下のチェック用エクセルで確認してください。
この法律は、建設工事の振動も規制対象としていますが、以下に添付した表では引用していません。
悪臭防止法
この法律は、都道府県知事や市長が指定した地域が対象で、指定された地域で事業場を設置すると、規制基準を遵守する義務があります。法律上は、測定義務はありません。
工業用水法
この法律は、指定地域内に工業用井戸を設置する際に適用を受ける法律です。井戸がなかったり、井戸があっても指定地域でなければ適用をうけません。設置許可を得た井戸は変更届(第7条、第9条)、承継届(第10条)、廃止届(第11条)が必要です。指定地域は、「印刷産業における環境関連法規集(2022年度版)」p巻-7巻末資料9「指定地域(工業用水法)」を参照してください。また、国立環境研究所HPでも確認ができます。
建築物用地下水の採取の規制に関する法律
この法律は、指定地域内に井戸を設置する際に適用を受ける法律です。指定地域があるのは大阪府、東京都、埼玉県、千葉県であり、冷暖房用設備、水洗便所、洗車設備等に供する場合に許可が必要になります。指定地域は、「印刷産業における環境関連法規集(2022年度版)」p巻-7巻末資料10「指定地域(ビル用水法)」を参照してください。また、国立環境研究所HPでも確認ができます。
土壌汚染対策法
(略称:土対法)
この法律は、原則として、土地の所有者が適用を受ける法律です。土壌汚染調査の契機は、有害物質使用施設廃止、土地の形質変更及び都道府県知事の命令です。有害物質使用施設を廃止しても工場として使用を継続すれば調査は猶予されます。3,000m2以上の土地の形質を変更する際は事前に届けなければならず、有害物質使用特定施設があったり調査猶予中であったりする土地では900m2以上で届出が必要になります。
特定工場における公害防止組織の整備に関する法律
(略称:公害防止組織整備法、公害防止管理者法)
この法律は、工場に大気汚染防止法、水質汚濁防止法等の特定施設を設置したり、工場から一定量以上の排ガスや排水を排出したりすると特定事業者として適用されます。適用される要件及び選任すべき者は、「印刷産業における環境関連法規集(2022年度版)」p80表Ⅱ-1-69「印刷関連の主な特定工場」にまとめられています。また、チェック用エクセル(大気関連、水質関連)でも確認できます。