(2)廃棄物、資源循環

循環型社会形成推進基本法

 この法律は、循環型社会の形成に向けて、基本原則、各主体の責務、国の施策の基本事項を定めた法律です。事業者に対する具体的な義務は、廃棄物処理法、各種リサイクル法等で規定しています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

(略称:廃棄物処理法、廃掃法)

 事業活動では、廃プラスチックや金属くずの発生は不可避です。PS版自現機を設置している事業場では廃アルカリが発生します。他者が買ってくれなければ、これらは産業廃棄物であり、処理業者に委託する際、必ず適用を受ける法律です。この法律では、廃棄物処理は「自己処理」が原則で、業者に委託すれば終わりではなく、埋立または売却できるモノに変わるまで把握することを要求している法律です。ここの解釈では、主として東京都ホームページを引用していますが、各都道府県でもホームページで廃棄物処理委託を解説していますので、参照してください。

 解釈上の注釈には用語として「専ら物(紙くず、ビン、金属くず、繊維くず)」を使用しています。専ら物の運搬や処分を委託する際であっても処理委託契約書の締結は法定義務で、未締結の場合は罰則が科せられます。

資源の有効な利用の促進に関する法律

(略称:資源有効利用促進法)

 この法律は、事業者に対して、原材料等の使用の合理化、再生品の利用、製品の長期間使用、製品使用後は再利用等を一般的責務として課しています。業態によって事業者を特定省資源事業者、特定再利用事業者、指定省資源化事業者、指定再利用促進事業者、指定表示事業者、指定再資源化事業者、指定副産物事業者と特定して、義務を課しています。印刷業界が関係するのは指定表示事業者で、PET容器及び容器包装を製造している従業員20人以上の事業者は表示義務が課せられます。

プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律

(略称:プラスチック資源循環促進法)

 この法律は、印刷産業では、製造工程で副次的に発生するプラスチック(有価物、廃棄物)を年間250トン発生する事業者が多量排出事業者として適用を受け、削減目標を設定し、取組み状況を公表する義務が課せられます。ただし、常時雇用する従業員が20人以下であれば適用除外です。

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律

(略称:容器包装再商品化法、容器包装リサイクル法、容リ法)

 商品の容器(紙製、プラスチック製の瓶や袋を含む)を製造・輸入する事業者が「特定容器製造等事業者」として適用を受ける法律です。ただし常時使用する従業員の数が20人以下であって、すべての事業の売上高の総額が年間2億4,000万円以下である場合は適用されません。小売販売を業とする者が販売する際に使用する包装紙、書店で付される書籍のブックカバーも「特定包装」として法の対象ですが、「特定容器」ではないため製造事業者には再商品化の義務はありません。ただし、小売販売を業とする者が販売する際に使用する包装紙が1,300cm2を超える場合には、紙マークを表示する必要があります。

特定家庭用機器再商品化法

(略称:家電リサイクル法)

 印刷業界は、法の対象となる電気機械器具の製造業者でも小売販売業者でもありませんので、事業者と法第9条で定める「排出者」の立場で適用を受け、対象製品の廃棄を委託した小売業者等から渡される「管理票」を受領することになります。排出者には保存の義務はありません。

使用済自動車の再資源化等に関する法律

(略称:使用済自動車再資源化法、自動車リサイクル法)

印刷業界は、使用済自動車の引取り、解体、破砕、及びフロン類の回収を行っていませんので、「自動車の所有者」の立場で適用を受けます。再資源化預託金等の預託および使用済自動車の引取業者への引渡しが遵守事項です。

使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律

(略称:小型家電リサイクル法)

 条文が21条の法律です。デジタルカメラやゲーム機等の使用済小型電子機器等の再資源化を促進するため、主務大臣による基本方針の策定及び再資源化事業計画の認定、当該認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可等に関する特例等について定めた法律です。施行令第1条で定める電子機器が対象で、法第10条第3項の認定を受けた認定事業者に引き渡す努力義務があります。引渡しには、事前に処理委託契約書を締結し、マニフェストの交付が必要です。

国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律

(略称:グリーン購入法)

通称「グリーン購入法」と呼ばれるこの法律は、行政機関等に環境配慮製品の優先的購入を義務づけるもので、「事業者」から始まるのは第5条のみで、物品の製造業者やサービス提供者に環境情報を提供する努力義務(第12条)、自己認証や自己宣言マークを行う場合にも科学的知見や国際的取決め留意する努力義務を課しています。

 この法律の第6条に基づき、国は、”環境”物品に該当するかの「判断の基準」を定めます。この中には、情報用紙、印刷用紙、さらに印刷役務もあり、参考になります。印刷役務については、「オフセット印刷又はデジタル印刷の工程における環境配慮チェックリスト」を公開しています(https://www.env.go.jp/content/000185153.docx)。

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