2024年度第1四半期のまとめ

○環境関連法の成立・改正

2024年通常国会(第213回)に提出された環境関連法案6本のうち5本が成立し公布されました。残り1本は継続審議となりました。

① 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(環境省)

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDBBF2.htm

閣議決定: 3月5日、第213回国会、議案番号:42、本会議議決日:6月12日、公布:6月19日法律第56号

概要:二国間クレジット制度(JCM)の実施体制強化等、地域脱炭素化促進事業制度の拡充。

② 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案(環境省)

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDBC06.htm

閣議決定: 3月5日、第213回国会、議案番号:43、本会議議決日: 4月12日、公布:令和6年4月19日 法律第18号

解説:https://piems-lab.com/wp-admin/post.php?post=288&action=edit

③ 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案(環境省)

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDBF8E.htm

閣議決定: 3月15日、第213回国会、議案番号:60、本会議議決日:5月22日、公布:令和6年5月29日 法律第41号

解説:https://piems-lab.com/wp-admin/post.php?post=294&action=edit

④ 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給および利用の促進に関する法律案(経済産業省)

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDB72E.htm

閣議決定:2月13日 、第213回国会、議案番号:16、本会議議決日:5月17日、公布:令和6年5月24日 法律第37号

概要:低炭素水素等の供給・利用を早期に促進するため、基本方針の策定、計画認定制度の創設、計画認定を受けた事業者に対する支援措置や規制の特例措置を講じる。

⑤ 二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(経済産業省)

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDB742.htm

閣議決定:2月13日 、第213回国会、議案番号:17、本会議議決日:5月17日、公布:令和6年5月24日 法律第38号

概要:CCS事業に必要な試掘・貯留事業の許可制度及び貯留権等の創設、貯留事業に係る事業規制・保安規制、二酸化炭素の導管輸送事業に係る事業規制・保安規制等を整備。

⑥ 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣府)

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDBED2.htm

閣議決定: 3月12日、第213回国会、議案番号:53、継続審議

解説:https://piems-lab.com/wp-admin/post.php?post=396&action=edit

○全般

 「第5次循環型社会形成推進基本計画(案)」に対する意見募集が4月22日から5月22日にかけて行われました。

 「第6次環境基本計画」が5月21日に閣議決定され、公表されました。

 「令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」が6月7日に公表されました。

○気候変動関連

 2024年5月の世界の平気気温は12ヵ月連続で過去最高を記録しました。世界気象機関(WMO)は、世界の年間平均気温が今後5年間で産業革命前の水準よりも一時的に1.5℃以上高くなる可能性が80%あると予測しています。

 環境省は4月12日、2022 年度のGHG排出・吸収量が過去最低の10億8,500万トンであったと公表しました。日本が基準年としている2013年度から22.9%の減少です。今回世界で初の「ブルーカーボン」の吸収量(35万トン)と環境配慮型コンクリートによる吸収量(17トン)を算定しています。

○サステナビリティ情報開示

企業の環境情報開示のグローバルなプラットフォームを運営する英国の非営利団体CDPは中小企業向けの質問書「コーポレートSME版質問書」を作成し公開しました。ここから閲覧することができます。

 サステナビリティ開示基準に関して、EUで企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD、Corporate Sustainability Due Diligence Directive)が5月24日に成立しました。これは、自社のサプライチェーンにおいる人権侵害や気候変動のリスクを特定して防止策を講じ、モニタリングの結果を公表することを義務付けるものです。2027年から従業員5000人以上、売上高15億ユーロ以上の企業が対象となり、2029年からは従業員1,000人以上、売上高4億5000万ユーロ以上に対象範囲が引き上げられます。連結グループで条件を満たす場合は、親会社が適用を受けます。適用を受ける企業と取引している場合は、リスクに関する問合せ対応が必要になります。

 金融庁や国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)には1Qには新しい情報はありません。

○その他

企業のSDGs推進を産官学連携で支援するために2024年3月、一般社団法人日本サステナブルビジネス機構(以下「JSBO」)が設立され、6月から企業向けのSDGs認証制度「サステナブルビジネス認証制度」(JSB認証)を開始すると公表されました。理事長は蟹江憲史教授(慶應義塾⼤学⼤学院政策・メディア研究科)、幹事として内閣府、環境省、中小企業庁が参加し、民間の幹事には大川印刷株式会社社長が参加しています。4社を対象に認証審査のPoC(概念実証)を実施し、2024年度中に100社の認証を予定しています(ニュースリリースはこちら)。

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