ネイチャーポジティブの実現に向けた「昆明・モントリオール生物多様性枠組」にはターゲットのひとつとして「2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する目標(30by30目標)」があります。この達成に向けて、生物多様性の損失を抑える施策とその向上を図る施策の両方を推進し、生態系の健全性の回復に繋がる民間等の活動を促進していくことが不可欠であり、環境省は、「民間等の取組によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」に認定する仕組みを2023年度から運用を開始しています。
このような生態系の健全性の回復に繋がる民間等の活動を促進していくための中央環境審議会の答申「自然再興の実現に向けた民間等の活動促進につき今後講ずべき必要な措置について」に基づき法制化されたのが今回の法案です。企業等が場所と紐付けて策定した活動計画を「増進活動実施計画」として国が認定し、認定を受けた者に対して、自然公園法に基づく許可等の手続を不要とする特例等を設け、活動に必要な手続をワンストップ化・簡素化できる措置を講じるものです。
この法律では、基本理念として第3条で「生物多様性その他の自然環境の保全と経済及び社会の持続的発展との両立が図られ、豊かな生物多様性の恵沢を享受できる、自然と共生する社会の実現」を掲げています。
事業者に対しては第6条で「事業者は、基本理念にのっとり、自らの事業活動における生物の多様性の重要性に対する関心と理解を深め、その事業活動の内容に即した地域生物多様性増進を実施するように努める」と努力義務を課しています。
公布日から1年以内に施行されます。