ISO規格を制定する際に従うルールのひとつである“ISO/IEC専門業務用指針 補足指針”が、2012年5月に改正され、この指針の中の附属書SLにおいて、ISOマネジメントシステム規格(MSS)の構造、分野共通の要求事項及び用語・定義を共通化することが定められました。ただし、これらだけでは対応できない部分に関しては、Appendix3との整合性に影響せず、意図と矛盾せず、さらにその意図を弱めない範囲で、テキスト、箇条およびビュレット項目(箇条書き項目)の追加が認められています。
日本適合性認定協会(JAB)が認定対象としているマネジメントシステムを例に取ると、ISO/IEC27001(情報セキュリティ)では、「8.運用」でリスクアセスメントおよびリスク管理の2つの箇条がに追加されています。ISO9001(品質)でも製品に関連して7つの箇条が追加、ISO22000(食品安全)でもトレサビリティーやハザード管理など8つの箇条が追加されています。ISO45001(労働安全衛生)では、「働く人」視点で「4.組織の状況」、「5.リーダーシップ」、「8.運用」、「9.パフォーマンス評価」及び「10.改善」の箇条で追加があります。
ISO14001(環境)では、「6.計画策定」で環境側面、順守義務、環境目標が追加され、「7.4コミュニケーション」では内部と外部が区別され、「8.運用」では緊急事態対応が追加されています。さらに、「9.パフォーマンス評価」では順守評価が加わり、「10.改善」で改善の機会の決定が追加されています。特に「順守義務」に関しては、「1.適用範囲」にも明記され、この箇条を含めて16箇所に記載があります。
このことから、環境マネジメントシステムでは、環境との関わりを把握し、法令順守をベースとして継続的改善が求められていることが理解できます。
さらに、事業活動では組織内で決めたルールを守ることも不可欠です。情報開示はステークホルダーとコミュニケーションを行う際の基本であり、特にCO2排出量に関してはサプライチェーン全体のGHG削減に向けた取組みの中では開示が避けられなくなっています。
以上に基づいて、中小印刷会社の環境マネジメントのポイントを、以下のように考えました。
ここでは、この考えにしたがって項目を分類しました。