第五次循環型社会形成推進基本計画(以下「第五次基本計画」)が閣議決定され、8月2日に公表されました。これは、『循環型社会形成推進基本法』第15条に基づいて策定されるもので、2003年3月に第一次の基本計画が策定された以降5年ごとに見直されています。
今回の第五次基本計画は、循環型社会を形成するために循環経済へ移行する政府全体の施策を取りまとめであると同時に、3つの地球的危機(気候変動、生物多様性の減少、汚染)の克服に向けて「ネット・ゼロで、循環型で、ネイチャーポジティブな経済の実現」を目指す世界情勢を背景に、これらに対応するのみならず、国際的な資源獲得競争に対応し国際的な産業競争力の維持・強化や、人口減少・高齢化が進む中で地方創生・地域活性化も目指しています。
循環型社会の全体像に関する指標の「物質フロー指標」として、①「資源生産性」、②「循環利用率(入口、出口)」および③「最終処分量」を指標としています。2030年度目標として、①資源生産性(約60万円/トン)、一人当たり天然資源消費量(約11トン/人・年)、再生可能資源及び循環資源の投入割合(約34%)、②入口側の循環利用率(約19%)、出口側の循環利用率(約44%)、③最終処分量(約1,100万トン/年)が設定されました。このうち、「再生可能資源及び循環資源の投入割合」は、Renewableの観点から今回の第五次基本計画で初めて導入された指標で、「経済社会に投入される物質の全体量のうち再生可能資源と循環利用量の占める割合」です。
国・事業者・国民による循環型社会づくりのための取組の進展度合いは、物質フロー指標だけでは表すことができないため、計測・評価するための指標として「取組指標」が設定されています。具体的には、循環型社会ビジネスの市場規模、国民の意識・行動(廃棄物の減量化や循環利用、グリーン購入)、循環経済への移行に関わる部門等由来GHG排出量、カーボンフットプリントを除いたエコロジカルフットプリントです。
また、「重点分野で示されている方向性の達成状況を示す指標」が設定されています。この中で例示されている「プラスチック再生利用量倍増」、「食品ロス量半減」、「金属リサイクル原料の処理量倍増」、「産業廃棄物発生量に対する電子マニフェストの捕捉率(2030年度75%)」などは事業者が環境マネジメントで目標を設定する際に参考になります。
第四次基本計画で設定されていた補助指標は今回の第五次基本計画ではなくなりました。
循環経済への移行には3R+Renewable (廃棄物等の発生抑制・循環資源5の再使用・再生利用+バイオマス化・再生材利用等)が基本原則です。加えて、資源獲得の制約や地上資源の有効活用の観点からは“ストック”も重要です。事業者にはモノの点検・リペア・交換・再使用やシェアリングサービスなどの新たなビジネスモデルを立ち上げが期待され、消費者にはレンタル・リース・サブスクリプション・シェアリング・中古品の売買等のサービスを積極的に活用し、地方公共団体やNPO・NGOにはこれらの支援や啓発する役割が第五次基本計画で期待されています。