「GX2040ビジョン」が公表

2月18日に閣議決定され公表されました。これは、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現するGXの長期ビジョンです。ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化の影響、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展やGXによる電化等の電力需要増加の可能性などを踏まえて、令和5年(2023年)7月に策定した「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(以下「令和5年推進戦略」)を改訂したものです。日本の長期削減目標として決定された「2035年度、2040年度に、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減」も踏まえています。

GX2040ビジョンは、(1)はじめに、(2)GX産業構造、 (3)GX産業立地、(4)現実的なトランジションの重要性と世界の脱炭素化への貢献、 (5)GXを加速させるためのエネルギーをはじめとする個別分野の取組、(6)成長志向型カーボンプライシング構想、(7)公正な移行、(8)GXに関する政策の実行状況の進捗と見直しについての8つのパートで構成されています。

注目したのは「中堅・中小企業のGX」の箇所です。令和5年推進戦略では、「中小企業支援」が基本的な考え方で、「知る、測る、削減する」の取組み段階に応じた支援を行うとしていました。しかし、GX2040ビジョンでは最初に「見える化と目標設定」が置かれ、「まずは自社や個別設備のエネルギー消費量やCO2排出量を算定・見える化し、削減計画等を策定する必要がある」と述べています。中小企業にとってもGXに向けた取組みは徹底的な省エネルギーであり、省エネルギー診断事業の充実、国の電子報告システムの改修、省エネルギー・省CO2を促進する設備導入支援や中小企業基盤整備機構によるハンズオン支援、地域の金融機関、商工会議所、地方公共団体などとの連携による支援を行うとしています。さらに、「大企業等が取引先の中堅・中小企業とともに行う設備導入支援の充実」と大企業の役割にも期待しています。

GX2040ビジョンでは、スコープ3排出量の削減やカーボンフットプリント算定の観点からの中小企業のCO2排出量の算定・把握の必要性に関する記載はありませんが、中小企業にとっても自社のGHG排出量把握は必須要件として扱われています。

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