2月18日に閣議決定されました。エネルギー基本計画は、2002年に制定された『エネルギー政策基本法』に基づき、エネルギー政策の基本的な方向性を企業や国民に対して示すために政府が策定するもので、2003年10月に初めて策定され、3~4年毎に見直され、第6次は2021年3月に策定されています。
新聞報道では、今回の基本計画のポイントは、以下のとおりです。
・ 2035年度に13年度比60%削減、2040年度には同73%削減を目標とする
・ 2040年度電源構成は、再生可能エネルギーによる供給を4~5割程度、原子力発電は2割、火力発電を電力の3~4割と見込む(2023年度実績は再生可能エネルギーが22.9%、原子力が8.5%)
・ 再生可能エネルギーの内訳としては、太陽光は23~29%、風力は4~8%、水力は8~10%、地熱は1~2%、バイオマスは5~6%と見込む
・ 原子力発電については再生可能エネルギーと同等に最大限活用するとし、東日本大震災後に明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言を削除した。
今回の「第7次基本計画」は、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化などを受けたエネルギー安全保障の要請の高まりに加え、国内ではDXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる状況の中で策定されています。この計画を達成すると、2022年度時点で約12.6%であったエネルギー自給率は2040年度には3~4割程度と見込んでいます。
需要家サイドには、徹底した省エネルギーに加え、電化や非化石転換が必要不可欠であり、特に熱需要の脱炭素化が重要であると指摘しています。
日本のGHG排出量の1~2割を占める中小企業も脱炭素を進めることが重要であり、脱炭素の取組の「第一歩」である省エネルギーを契機として脱炭素に向けた取組を進めていくことが必要と指摘しています。さらに、GXに取り組めば、光熱費・燃料費の低減や自社製品のブランド力強化、取引先の拡充などのメリットも見込まれるとも指摘しています。
このため、「中小企業については、脱炭素に向けた潜在的なニーズを掘り起こすため、省エネルギー診断を強化するとともに、金融機関や省エネルギー支援機関とも連携した、地域で中小企業等の省エネルギーを支援する体制を構築していく。支援体制の充実に向けては、省エネルギー等を助言することができる人材の確保にも併せて取り組む。」としています。
なお、「2040年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)」の中で、2040年度の電力排出係数を0.04 kgCO2/kWhで、CCSの活用が拡大した場合は0.00 kgCO2/kWh、たとえ2040年度までに革新技術の大幅なコスト低減等が十分に進まず、既存技術を中心にその導入拡大が進展した場合でも0.13 kgCO2/kWhと見通しています。